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本郷の一言2015年10月19日
記憶心理学を学んでいる人ならば常識なのですが、
正確な記憶などこの世に存在しません。これは、心理学のどの流派でも定説です。
記憶は必ず実際の出来事と違いますし、さらに言うと、どんどん変化していきます。
もちろん、記憶は実際の出来事を反映しています。ですから、子どもの頃心理的虐待を受けた記憶がある人の過去に、「虐待はなかった。」のような極端なことを言うつもりはありません。
しかし、「記憶はあやふやで、変化させることが出来る」ということは、我々にとって朗報だと思っています。
なぜなら、どんなに辛い目に会う経験をしたとしても、それをいつまでもくっきりと覚えていて苦しむよりも、記憶を変化させて、楽に幸せに生きていく方がいいと思うからです。
過去の辛い記憶を思い出して苦しんでいる人。あなたのその苦しみは、取り去ることが出来すよ。
さて、私たちは、3日前のことなどすっかり忘れてしまったり、昨日のことさえなかなか思い出せなかったりするのに、なぜ、何十年も前の出来事を、映像つきで、感情も生々しく覚えていたりするのでしょうか?
それは、その映画の1シーンのような記憶が、自分が今使っている「人生のプログラム」(アドラー心理学では「ライフスタイル」と呼びます。)に合致しているからなのです。
「人生のプログラム」(ライフスタイル)には、出来事などをどう受け取り解釈するとか、それが自分にとってどう意味を持つかとか、そんな時自分はどう反応すればよいか、などという、人生の流れの方程式が入っていて、たいてい、その方程式に則って、人生の流れを進めていきます。
そして、その人生の流れの方程式を「ウン間違いないんだ」と強化するために、その流れの方程式に合致する記憶だけを保持して、思い出して方程式を強化保持しているのです。
ですから、カウンセリングでクライエントさんが「人生のプログラム」(ライフスタイル)を変えて行かれると、
記憶が変化していくのです。良く思い出していた記憶がぼんやりとしてきたり、その記憶の場面に新たなものが付け加わって変化したり、忘れていた記憶を思い出したりします。
記憶のせいで、今の人生の流れになっているのではなくて、今の人生の流れは「人生のプログラム」(ライフスタイル)の働きのせいなのです。
だから、「人生のプログラム」(ライフスタイル)を変えるために、記憶にセラピーをしたりもしますが、記憶が原因だから消去しているのではなくて、
「人生のプログラム」(ライフスタイル)をもっと幸せなものになるために記憶をセラピーしているのです。
辛い記憶に苦しんでいる方。大元である「人生のプログラム」(ライフスタイル)を変えて、辛い記憶の苦しみから脱却しませんか?
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