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本郷の一言2015年10月01日
原因と結果物理の世界には、原因と結果があります。
茶碗を硬い床の上に落としたら、割れました。茶碗が割れた原因は何か?それは、落としたことに違いありません。床の上に落としたという原因があって、茶碗が割れるという結果が生まれたのです。
では、人間はどうでしょうか?
向こうから、良く知っている異性が近寄ってきて、近くまで来て笑いました。 A子さんは、馬鹿にされたと思って、怒って文句を言いました。「何よ。私のこと見て笑うんじゃないわよ。」 B子さんは、「あら、Hさん。何かいいことあったの?機嫌が良いわね。」と笑いかけました。 C子さんは、「あ、また一人男が私に惚れたわ。」と思い、「なあーに?Hさん、私に何か用事?」と媚を売りました。 と、このように、同じ出来事があっても、反応は人によって違い千差万別です。
つまり、人間においては、「原因と結果は成り立たない」のです。
反応の違いを決定づけたのは、その人自身です。原因などではありません。
そして、多くの場合、人は同じような反応を示したりします。それは、その人の中に受け止め方、考え方、価値観、行動などのパターンがあるからです。固い思い込みがあると言ってもいいでしょうし、そう思い込んでしまう「くせ」があると言ってもいいでしょう。
例えば、A子さんは、「男(あるいは人)が笑ったら、それは私をバカにしているからだ」という強烈な思い込みで出来事を観察します。色眼鏡をかけて見ていると言ってもいいでしょう。
このような「思い込みの癖群」は、生きていくシナリオのようになっていて、その人の人生の流れを決定づけていくのですが、※アドラー心理学では生きていくためのスタイルという意味で、ライフスタイルと呼んでいます。
このシナリオは、自分で作ったので、自分で変えることが出来ます。
ただし、自分一人では変えることは非常に困難です。なぜならば、シナリオを変えようと試みる時に、現行のシナリオの受け止め方、考え方を使って変えようとするからです。だから、変えようとすればするほど、変えないように、変えないようにしてしまうからです。
だから、無意識の中のシナリオ(ライフスタイル)を変える時は、変え方を良く知っている第三者(つまりアドラー心理学カウンセラー)と協力して、自分の努力で変えていく必要があります。
この時、症状を変えようとするとうまく行きません。症状を出している大元のシナリオ(ライフスタイル)を変えようとする必要があります。
症状を抑えようとすると、よけいに症状が悪化することが多いものです。
どもりをやめようとすると、よけいにどもりがひどくなります。赤面した時に「ああ、赤くなっちゃいけない」と思えば思うほどよけい顔は赤くなります。
うつという症状を、パニック症状を、不安になることを、対人恐怖を抑え込もうとすると、よけい症状が悪化するかもしれません。
そうではなくて、 それらの症状のもとになっている「無意識下のシナリオ」=「ライフスタイル」をカウンセラーと話し合って解明して、幸せに生きるシナリオに改編していくのです。
いつの間にか、症状は起きなくなるでしょう。
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