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本郷の一言

2017年01月19日

本郷ひろなかの「嫌われる勇気」解説4 人は怒りを捏造する

アドレリアン本郷ひろなかの「嫌われる勇気」解説 第4回目です。

 

「人は怒りを捏造する」なんとまあ、扇情的な言い回しでしょう。

 

「トラウマは、存在しない」もそうですが、物語の中に引き込ませるために、わざと扇情的な言い回しを使っているようです。

 

批判しているわけではありません。「嫌われる勇気」(ダイヤモンド社)のおかげで、人びとはアドラー心理学に目を向けてくれたのですから。

 

ただ、青年が主張するように、「感情というものが衝動としてどうしようもなく噴き上げてくるものだ。」という説は、アドラー心理学は明確に否定します。

 

「本能的衝動」や「感情」が吹きあがってきて、なんとかそれを「理性」で抑えようとして、うまく抑えられるときもあれば、抑えられなくて行動に出る時もある。

 

世間の人は、このように理解しているのではないでしょうか?

 

これは、言葉は「イド」「エゴ」「スーパーエゴ」などの言葉を使いますが、フロイト精神分析的な、人間の精神はいくつかの部品で出来ていて、構造を作っている、そして部品同士で葛藤していて、葛藤の結果行動として現れるという考え方とよく似ています。

 

アドラー心理学は、人の精神がいくつかの部品で出来ていて、それらが独自の動きをして、ぶつかり合って葛藤を起こすという説を明確に否定します。

 

アドラーは、フロイトと一緒にやっていた「精神分析学会」の会長を辞して(アドラーが会長をしていたのです。)、

 

仲間たちと脱退して、新しく作った自分たちの心理学の名前を「indevidual psychology インディヴィデュアル心理学」と付けました。

 

直訳しちゃうと個人心理学なのですが、「indevidualインディヴィデュアル」という言葉には、「分割できない」という意味を持っているので、個人心理学という訳語はちょっと不適切だと私は思っています。

 

つまり、アドラーは、人の精神は部分や部品に分かれてなんかいなくて、ひとまとまりになって、機能していると主張したのです。

 

だから、感情もある相手役に対して何らかの目的をもって、作って使うと考えています。

 

お母さんが、宿題をしない子どもに怒って「早く宿題をしなさい。」と怒鳴っていたとしたら、そのお母さんは、子どもに支配的に宿題をさせるために、怒りを作り出して、怒って怒鳴っている と解釈します。

 

自分の主観的な意味づけの中での理想的な異性が表れて、その異性に近づきたいなあという目的(意図)を持ったら、「好き」という感情を作り出し、「好き」という感情をエネルギーに積極的な行動に出ていきます。

 

理想的だと思っていた異性が、とても幻滅するような行動や態度を見せたので、この人から離れたいなという目的(意図)を持ったら、「嫌い」「嫌悪感」という感情を作り出して、その感情をエネルギーに離れていきます。

 

狭い路地を歩いていて、向こうからやくざ屋さんかな?と思えるような雰囲気の男が三人横になって歩いてきたら、自分の安全を確保したいという目的を持ったら、「怖い」という感情を作り出し、横道に逃げていきます。

 

このように、私たちは瞬間的に感情を作り出して使ったり、あるいは我慢したりします。(相手に怒りを感じても我慢する人は多いものです。でも、この場合も自分が怒りを作り出しています。)

 

しかし、その感情の前に私たちは、ある意図=目的をもっています。瞬間的だから気づいていないだけです。

 

この青年の例もそうです。

 

コーヒーをこぼしたウエイターに対して「怒鳴って懲らしめたい」という意図=目的をもって、怒りを作り出して、怒鳴ったのです。

 

瞬間的に作り出すので、衝動として噴き出すように感じる人がいるのは、分かりますが、間違っています。

 

感情は出し入れ可能な道具だし、自分のライフスタイルでやっているいつもの作戦を変えて、アドラー派のカウンセラーやSMILE勇気づけの親子・人間関係セミナーのようなアドラー心理学のプログラム学習コースから習った新しい作戦を使うと、

 

怒りじゃない穏やかな感情を使えるようになります。

 

例えば、大事な電話をしていたら、自分の子どもが横で大騒ぎするので、電話が聞こえないので、「うるさい。そんなに騒ぐと大事な電話が聞こえないだろ。黙ってろ。」と怒っていた人が、

 

大騒ぎをしている子どもに、「今、パパは大事な話を電話でしてるんだけど、キミにそこで騒がれるととても困るんだ。しばらく静かにするか、離れたところで遊んでくれないかな?」と理由を説明して、穏やかにお願いするように、行動変容することが出来ます。

 

これは、感情が相手役に対して、ある目的をもって、自分が創り出している道具だ。と主観的な意味づけを変えるから、

 

新しい作戦を学んで使えるようになるわけです。

 

目的論で考えると、混沌がこのようにシンプルに整理されてきます。

 

私たちアドラー派のカウンセラーは、クライエントさんの認知=意味づけが、幸せな意味づけになるように援助するのです。

 

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