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本郷の一言

2017年01月19日

本郷ひろなかの「嫌われる勇気」解説3 原因論を否定する

本郷ひろなかの「嫌われる勇気」解説 第3回目です。

 

哲人が、原因論で考えるから「人は変われない」ということになってしまうのだ。と言います。

 

原因論というのは、過去の成育環境が原因で、今の人格が出来上がったという決定論のことです。

 

一般的な心理学で言うところの「遺伝と環境の輻湊説」のことです。

 

人の性格や人格は、原因である遺伝と環境の二つの複雑な絡み合いで決まってしまうという説です。

 

人の自由意思とか自己決定権を否定する考え方です。

 

そりゃ。人の自由意思や自己決定権を100%否定すれば、原因論は成り立つし、「人は変われない。」ということになるでしょう。

 

遺伝と環境の原因に人は支配されているわけですから。

 

わたしには納得いきませんし、アドラー心理学は、「遺伝や過去の成育環境は影響であって、どういう性格になるか、どういう人格になるかは本人が決定する。」と思っているのです。

 

遺伝や環境の影響は否定しません。

 

でも、自由意思や自己決定権の方がずっと大きいと思っているのです。アドラー心理学の思想です。

 

解説1で出した例なのですが、

例えば、向こうから、良く知っている女性が近くまで寄ってきて笑いました。

 

Aさんはバカにされたと思って、「なに、俺の顔を見て笑ってんだよ。このやろ。」と怒って怒鳴りました。

 

Bさんは、「あら、Hさん、今日は機嫌良さそうだね。何かいいことあったの?」と笑い掛けました。

 

Cさんは、「ああ。また女が俺に惚れたか。」と思って「何だい。Hさん、私に何か用かい?」と格好つけました。

 

このように、「良く知っている女性が近くまで寄ってきて笑った。」という出来事を、必ず主観的な意味づけを通して認知するのです。

 

実は主観的な意味づけの傾向は、たいていは無意識的なもので、しかも、一つ一つが無意味に意味づけているのではなく関連されて、一つの物語として、一つの方程式として、その人の性格を決めています。

 

例えば、Aさんは、人が笑った時だけでなく、よく感情的になって人ともめてしまう傾向があるかもしれません。

 

アドラー心理学では、この意味づけの方程式のことを、変えられるという意味合いを込めて、人生を生きて行くのスタイルという意味で、「ライフスタイル」と呼んでいます。

 

いわば、その人が人生を生きて行くうえでのプログラムのようなものです。私はよく「人生のプログラム」のようなものですよ。と説明しています。

 

アドラー心理学は、人は子どもの頃(8歳頃と言われています)遺伝の影響を受けて、子どもの頃の環境を目の当たりにして、自分てこういう存在なんだ、この世はこんなところなんだ、こういう目的で生きて行くぞ、というような主観的ない意味づけの方程式(ライフスタイル)を決定すると思っているのです。

 

遺伝や環境の影響は大きいです。特に子どもですから、生育環境からの影響は大きいと思います。

 

でも、「こういう意味づけの方程式(ライフスタイル)を使って生きて行くぞ。」と決めるのは本人なのです。

 

本人が決めるから、本人が変えることが出来るのです。

 

そして、アドラーは、自らのカウンセリングで、多くの人々がライフスタイルを変えて、神経症や精神的な病を治して、幸せになっていくのを実践して見せたのです。

 

ライフスタイルの中には、その人がよく使う作戦が入っています。そして、その作戦には必ず目的があるし、人は何らかの行動をするときに必ずある目的を持って行動します。

 

だから、哲人は、原因論で考えることをやめて、目的論で考えることをすすめたのです。

 

哲人は、自室にこもりっきりになっているという神経症を、その友人が、ライフスタイルをもとに作り出した作戦で、その作戦には目的があるのではないかという視点を示したのであって、

 

だから、本人が勝手にやっているのだから放っておけという冷たい突き放す見方ではありません。

 

私の所にも、神経症で困っている人がたくさん来ますが、きちんと10数回通ってこられた方々は例外なく神経症を克服されていきます。

 

アドラー心理学カウンセリングは、神経症で困っている方のライフスタイルも幸せなライフスタイルに変えることで、その人が神経症を克服し、幸せになるのを確実に援助するのです。

 

また、哲人が否定したのはトラウマが症状の原因だ、トラウマのせいで今の性格になったんだという原因論を否定したのです。

 

多くの人々が「トラウマ」と呼んでいる、思い出すとつらい気持ちになるような記憶を持っていることを否定しているのではありません。

 

過去の私を含めて、思い出すとつらい気持ちになる記憶を持っている人はたくさんいます。

 

哲人はそれを否定したわけではないのです。

 

アドラー心理学が否定しているのは、トラウマ原因論、過去の原因に人間が支配されてしまうという、決定論なのです。

 

思い出すとつらい気持ちになる記憶は、ある目的をもって記憶を保持しています。ですから、無意識的なその目的を意識的に理解していくことと、ライフスタイルの作戦を変更していくことで、

 

辛い記憶も楽になっていきます。

 

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